7月中旬から、ほぼ毎日、たくさんのご家族がエコサーファーの自然体験に参加をしてくださっています。
どのご家族もリピーターさんを除けば、初めてお会いするご家族ばかり。
どのご家族も全く同じということは二つとなく、わずか2時間ほどの体験時間でも、精一杯、そのご家族と向き合って、ガイドをさせてもらっています。
その中で、「凄いなぁ」と本当に心底思ったことが今年の夏は二つありました。
一つは、長男が重度の障害者で、次男、三男がいらっしゃって、クワガタ捕りの体験に来てくださった時。
お会いした時に、すぐにその方が障害者だということが分かりました。初めは、「え?参加されるんですか?」と正直思いました。そして、「お金をいただいて良いのかな」とも思いました。ですが、直感で「精一杯ガイドしよう!」と思い、全員分の参加料金を頂きました。
そして、そのご家族と交流していくうちに情が出てしまいました。
「健康な子どもを3人育てるだけでも僕ら夫婦はひーひー言っているのに、凄いな、この夫婦は」
「一人目は障害者で、二人目、三人目を出産するなんて、何て、凄いのだろう」
次男が長男の腕を引っ張って、「ほら、トイレ行くぞ!」と言った、そのシーンが今でも脳裏に焼き付いています。
奥さんと旦那さんの何とも優しいその眼差し。
色々なことを乗り越えてきたんだろうなぁといった、家族にしか分からない、その強く太い絆。
その全てに僕は感動していました。
もう一つは、発達障害の小学3年生を持つご家族。
この子は途中まで分からなかったのですが、クワガタ捕りのツアーを開始すると同時に「この樹にたくさんのクワガタとカブト虫がいるよ~」と僕が言うと、その子が一生懸命に駆け寄ってきて、両手でクワガタやカブトムシを掴んで、虫カゴに入れようとするのだけど、カゴがなかなか開かなくて、そのカゴを一緒に持っていたお父さんに向かって、「何やってんだよー、おめぇは!おい!おめえ、ふざけんなよ!」と、明らかにお父さんに向かって言っているのでした。
それをすぐ近くで見ていた僕は「あ、この子、このままだと、危険だなぁ」と思い、「僕!ねえ、僕!」と強い口調で言うと、「僕、この人嫌い!あっち行け!この人と一緒にいたくない!」と物凄い目つきになり、棒のようなものを持って、僕に近寄ってきました。そして、お父さんが申し訳なさそうな表情で「実はこの子、色々とありまして・・・」と。
その後、お父さんがその子を車に連れて行き、その間、このツアーをとても楽しみにしていた弟とお母さんとでツアーを再開して欲しいということで、僕は精一杯ガイドをし、彼が発達障害を持っているということを聞きました。しばらくして、サングラスをかけて、少しずつこちらに来ました。僕は見て見ぬふりをしながらガイドを続け、最後、車で分かれる時に、幼稚園児のように、車のシートの下に隠れ、少しこちらを見ては、「あ、見つかった」というような態度を取っていました。
お母さんの話によれば、2年生までは普通の小学校に通っていたみたいですが、3年生からは、そうではない発達障害の子が通う学校に行っているということでした。
先日、お父さんからメールが届きました。
「過日は大変お世話になりました。ご迷惑をお掛けしましたが、またエコサーファーの自然体験に参加したいと思います。宜しくお願い致します。」と。
このような家族を含め、たくさんのご家族と接する中で、僕は、親として、人として、本当に色々なことを感じ、考えます。
「発達障害はどうして起こるんだろう?」とか、「それでも、こうして旅行をし、自然体験に参加をさせようと思う、その親の気持ちって凄いなぁ」とか。
僕は、この自然体験をただお金儲けのためにやっている訳ではありません。
僕は、南伊豆での自然体験を通して、海・山・川などの自然をもっと好きになってもらいたい、日本の自然の素晴らしさに改めて気が付いてもらいたい。そして、その気付きは、やがては、自然環境の保護とか、モノを大切にしようとか、ゴミを出さないようにしようとか、そういう方向に目が向くと、強く信じています(僕がそうだったからです)。
ガイドをしている時に気を付けていることは、その人、その家族、そのカップル、そのグループの人と、どう接し、どのようなスタンスやどのようなスタイルでその事を伝えれば、その人にとって一番ハートに響くのか?ということです。それを、実に繊細に、丁寧に、精一杯やているつもりです。
自然は僕ら人間がいる限り壊れていきます。
それは百も承知です。
ですが、それを承知の上でも、この母なる大地に心底惚れ込み、偉大だと思った僕は、そのことを”人”に伝えていきます。
それが、僕の環境教育です。
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